序盤において、その碁の流れを作る基盤となってくるのが「布石」です。大げさに言えば、「どんな碁を打とうとするのか」を表明するシーンとも言えます。
そんな布石は、スタートからわずかな得を図る非常に神経を使う部分であり、また自分のオリジナリティや工夫を存分に表現する部分でもあり、勉強のし甲斐があるところなのではないでしょうか?
そこで、今回はよく見る布石に関するおすすめの囲碁本をまとめてみました。三連星や中国流など、よく打たれる布石の分野別におすすめ本をまとめています。その布石がどの形なのか、参考図も載せているのでぜひお気に入りを見つける参考にしてください。
「碁は序盤こそが学問、中盤は戦争屋に、終盤は能吏にまかせておけばよい。」
(昭和の名棋士・梶原武雄九段の言葉)
目次
三連星
最近は少し珍しくなりましたが、武宮正樹九段がかつて愛用し一世を風靡した三連星。シンプルで攻撃的、模様を念頭に置いた布石で、人気、実用性ともに健在です。
攻めで圧倒する!三連星のススメ
「攻め」にスポットを当てた三連星の解説書。かなり読みやすくわかりやすいないようです。低級位者向けかな。
基礎からわかる三連星の教科書
こちらはより詳しい三連星の解説書。と言っても基本的な内容がしっかり抑えられています。変化を全て追える、というわけではありませんが、三連星の打ち方の方針は身につくはずです。
あと、レビューで一人長文書いて三連星自体を低評価しているヤバい人いますが、どう見ても弱そう。
小林流
実利を好み、非常に実用的な碁で知られる小林光一九段が愛用したことから、「小林流」と名付けられたこの布石。現代でもよく打たれており、人気はトップクラスです。
基礎からわかる 小林流布石の教科書
小林流の基本的な戦法が解説されています。地を確保しつつ、カカってきた白石に圧力をかける小林流。バランスのとれた布石です。
中国流系
おそらく近年最もよく打たれているであろう、中国流に関する書籍。よく打たれて研究が進んでいるため変化も膨大であり、高い中国流やミニ中国流、さらにその変形verなどバリエーションは多岐にわたります。
一般的な変化をマスターできている人は、だいたい有段者格はある気がします。
基礎からわかる 中国流布石の教科書 ~知らなければハマり、知っていても互角以上!~
「基礎からわかる」シリーズ、中国流版。
布石や定石は日進月歩で進化しているためここに乗っている変化で万全というわけではありませんが、星から三々に入られた後の変化や打ち込み対策など、まず知っておくべき事項がうまくまとめられていると思います。
中国流の戦い方
古い出版の本ですが、意外にもAmazonで新品を買えるという。ロングセラーなんでしょうね。
タイトルには中国流と銘打っていますが、正しくは「高い中国流(高中国流)」に関する解説書です。
現代では、例えば伊田篤史八段なんかが好んで打たれていますね。
攻めっけの強い布石。故加藤正夫先生の解説がぴったりのいい棋書です。
基礎からわかる ミニ中国流の教科書
ミニ中国流の解説書。村川八段による解説です。
バランスよく、かなり幅広い変化図が示されていて読んでいて楽しいです。変化を多く示しながらも、共通する方針、ポイントなども書かれていて実用性も抜群。
とりあえず高段者は読んでおくべき。
スモール中国流布石 徹底ガイド
「スモール中国流」と名付けられたこの布石は、上の中国流やミニ中国流で最後にヒラく構えを一路狭くずらしたものです。
特に、ミニ中国流のヒラきを一路右に寄せた「ミニスモール中国流」は近年最もよく見る布石の一つで、その後の変化もオーソドックスなものからトリッキーな白の応手などかなり広いものがあります。
まずは基本的な形を抑えて、流行の布石に強くなりましょう。
星と小ゲイマ
星と小ゲイマに構える形もよく見ますね。
「星と小ゲイマ」集中講義 ~逆からツメる新発想の布石~
星と小ゲイマに構えたのち、ワリ打ちしてきた白石に圧力を加えつつ模様を形成するのがこの布石の狙い。ただ最近は白も右上にカカっていく進行が多いので少し古いかもしれません。
白番の布石
基礎からわかる 白番布石の教科書:迷いをなくす5つの鉄則
基礎からわかる 白番布石の教科書:迷いをなくす5つの鉄則 (囲碁人ブックス)[Kindle版]
少し珍しい、白番の打ち方に的を絞った本書。
白番は6目半のコミがあるのが大きな特徴で、その差は意外と大きく、序盤から方針が変わってきたりするものなのです。
対中国流など、具体例をひもときつつ白番という打ち方全体に通じる考え方を学ぶことができる良書です。
白を持った時の方針がいまいちわからない、という方におすすめ。
まとめ
近年よく見る布石を中心に、おすすめの棋書をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
基本的な布石をマスターすると、囲碁はグッと面白くなります。今回はこれで打ってみよう、とバリエーションが増えたり、全局的な意図をイメージしやすくなります。
また、ここに載せた本は一つの布石に的を絞った基本的なものが多いので、より高レベルの布石を学びたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。