碁打ち必読!そうじゃない人にも読んでほしい。 百田尚樹「幻庵」

ひ〜〜っさしぶりに夢中になって小説にのめりこんでしまいました。上下2巻とそこそこの分量でしたが、2日間で読みきってしまいました。テスト期間だったにも関わらず(勉強しろ)

その小説は一体何かというと、「永遠のゼロ」などで知られる百田尚樹の最新著作「幻庵」です。

主人公は文化文政時代から幕末にかけて活躍した囲碁棋士”幻庵因碩”。彼の数奇な運命を追いながら、「名人碁所」の座を巡って激しい戦いが繰り広げられる江戸時代後期の碁界模様を雄大に描きます。

江戸時代後期、日本の囲碁は大きく発展した

この小説で描かれる年代は、江戸時代後期・文化文政から幕末にかけて。様々な文化が発展した江戸では、同時に囲碁の世界も大きく発展を遂げることになります。

江戸時代の専業棋士がどのように生計を立てていたかというと、幕府から扶持を得て暮らしていました。本因坊家、井上家、安井家、林家の四大家元は互いにしのぎを削って囲碁の発展を目指すのと引き換えに、幕府からその環境を保護されていたのです。

その世界では基本的に、碁の強さが正義でした。身分制度が厳格に固定されていた江戸の世では珍しく、たとえ漁師や商家の次男以下であっても、トップに登りつめれば将軍とお目見えする機会もあります。そういう意味ではかなり特殊な世界だったといえるでしょう。

そして、碁界の絶対的な権威として「名人碁所」が存在しました。これは現代でいうタイトルのようなものですが、その基準は今と比べ物にならないほど厳しく他と隔絶した棋力をもった碁打ちしか就くことができません。そのため名人がいなかった時代も多く、300年近い江戸幕府の歴史の中で「名人碁所」の座につけた棋士はたった8人しかいませんでした。

 

「幻庵」で描かれる江戸時代後期は、この「名人碁所」を懸けた各家元の争いが最も激化した時代。盤上のみならず盤外でも様々な権謀術数が蠢く中、主人公”幻庵因碩”は宿敵のライバル”本因坊丈和”と激しい戦いを繰り広げることになります。

読んでいてワクワクが止まらない

なぜこの小説にここまで夢中になってしまうかというと、もちろん僕が囲碁を好きなこと自体が大きな要因ではありますが、それだけじゃない。とにかく多彩な登場人物が出てきて週刊少年ジャンプばりのテンションで勝負が繰り広げられていくんです。

特に江戸時代後期は、数多くの天才が誕生した時代でした。次々に登場する彼らの勝負は一体どちらが勝つのか?が気になってページをめくる手が止まらない。読んでいて少年漫画を読んでいる時のような気持ちになった所以です。

確かに、本来囲碁のようなボードゲームは見た目にも地味で興味を持たない人が多いのもうなずけます。ただ、そこは著者・百田尚樹の描写が見事で囲碁がわかる人もわからない人も楽しめるような文章になってるんじゃないかと思います。

 

とにかくおすすめ

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「事実は小説より奇なり」などと言いますがこの物語はまさにそんな感じです。「名人碁所」に全てを懸けた数多の棋士の勝負模様もそうだし、因碩のライバルとなる丈和が不遇な若年時代から不気味な強さを醸し始める過程とか、因碩の破天荒さ加減とか。因碩は晩年に清に密航しようとしてますからね。人物模様が面白いですよ、とにかく。

百田尚樹が作家デビューして10年、ずっと書きたかったというこの「幻庵」はその思いが伝わって来る名作でした。囲碁を知っている人にも知らない人にも強めにおすすめです。

 

おまけ 囲碁を打つ人向け

最後に、幻庵因碩の碁の中で個人的に好きな一局を途中まで載せておきます(本当は最後まであります)。こんなに雄大で躍動感あふれる碁を打つ人が他にいますか!ちなみにこの一局は物語を大きく左右することになるのですが・・・そこは是非小説でご堪能ください。

 

 

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